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雨後 / After Rain
雨後 早朝の緑が水をまとった。 ひとつひとつの滴に小さな空が映り落ちる。 何かが変わった気がする雨の前と今。 うまく言えないまま身体が動き出す。 — atch-k After R... -
一輪だけ / Just One
一輪だけ 花屋の前で、足が止まった。 財布の中身は電車賃と、少しだけ。 値段は見なかった。ただ、あなたの顔が浮かんだ。 一輪だけ—— それでも、あなたのために。 — a... -
名前より先に、咲いた / It Bloomed Before I Knew Its Name
名前より先に、咲いた 球根から葉が伸びていた。冬になると、黙って枯れた。 球根を土に埋めた。葉だけが伸びた。冬になると、黙って枯れた。 三度繰り返した。 ある朝... -
遅咲きの青 / Blooming into the Dark
遅咲きの青 誰も来ないと思っていた。 春の終わりに、ひとりで咲いてしまったのだと。 灯りが届くたび、青く、ただ青く、ツツジは光を受けた。 誰かに見てもらいたかっ... -
雨を待つ白 / White Waiting for Rain
雨を待つ白 雨の匂いは、ない。 指先が、白に触れそうで触れない。 --今年も、ここにいるよ。 ただそれだけを天に向け梅雨を待つ。 — atch-k White Waiting for Rain ... -
小さな道祖神 / My Little Guardian
小さな道祖神 いつもの橋を越えると、今日も君はそこにいる。 パンジーの紫が風に揺れる中、小さな鼻先がこちらを眺める。 何も言わない。何も聞かない。 それでも、少... -
白昼の森 / Daydream Forest
白昼の森 落ち葉を、踏みしめるたびに 緑の匂いが、肺の奥に入る。 光が地面を焼く。 私は歩いているのか。それとも、止まっているのだろうか。 わからない。 木々はず... -
あの夏の箸 / Chopsticks That Summer
あの夏の箸 気づくと、足が止まっていた。 ——ナデシコ。いつ覚えたんだろうか、この花の名前を。 夏の匂い。グラウンドの土と、消えかけた夕陽。 夢は追えた?自分に自... -
緑の記憶 / The Ivy Remembers
緑の記憶 音が消えた。 笑い声も、テレビの音も、もう聞こえない。 蔦だけが増え続け、錆びた手すりを、触る人はいない。 何人分の朝がここにあったのか。何度、鍵を回... -
排気の中の青空 / Blue Sky Through the Exhaust
排気の中の青空 排気の匂いが、早朝から漂った。高架の影の中、蔦だけが知らぬ顔で、青空へ向かう。誰かに見せるためでも、勝つためでもなく。ただ、そこへ。 — atch-k ...
