2026– category –
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触れない理由 / A Reason Not to Touch
触れない理由 サラ、と風が頬を撫でた。 摘もうとした手が、一瞬止まる。 一輪の、黄色い花。 奥に、もうひとつの黄色。 わずかに揺れて、また静まる。 — atch-k A Reas... -
春の列、届かない名前 / A Name I Couldn’t Reach in Spring
春の列、届かない名前 体育館の扉が開くたび、冷たい風と一緒に名前が呼ばれる。 同じ列に並ぶだけで、少しだけ、あなたと近くなる気がした。 言えなかった言葉は、花び... -
届かない距離のまま / Still out of reach
届かない距離のまま チャイムが鳴る少し前、窓の外の光が揺れていた。 前の席の肩越しに見える横顔。名前を呼ぶほどでもない距離で、ただ時間だけがゆっくり進む。 季節... -
時間の帯 / Band of Time
時間の帯 海沿いの風が、ガードレールを鳴らし、トラックが横を抜けていく。 光は柱の途中で止まり、影は奥へ伸びていく。 頭の上で、時間の帯が黙って続いている。 — a... -
足元に咲く初恋 / First Love at Your Feet
足元に咲く初恋 淡い色の中に集まる、小さな桜。 風に揺れるたび、花は距離を測るように開いて、また寄り添う。 大きな桜の下では見えない景色が、ここにある。足元の高... -
同じ場所、少し遠い / Same Place, Still a Little Far
同じ場所、少し遠い 「着いたよ」 メッセージを送ったら、目の前にいた。 顔を上げた瞬間、目が合って、少し笑う。 嬉しいのに、どこかぎこちなくて、 指先がまだスマホ... -
外へ、咲く / Blooming Beyond the Garden
外へ、咲く 春のやわらかい風に背中を押されて、ブロックのふちを、そっと越えてみた。 土の外は、風がよく通る。見たことのない色と、遠くの音が流れてくる。 わたしは... -
色褪せない時間 / A Time That Never Fades
色褪せない時間 信号が変わり、横断歩道に人の流れがほどける。 青く沈んだ街は、もう過ぎた時の色。 それでも、あなたと並んで歩いた時間だけは、今でも色褪せない。 —... -
小さな菜の花 / A Small Field Mustard Flower
小さな菜の花 土手沿いを歩いていると、ひとつだけ目にとまった菜の花。 近づくと、花の集まりは思ったより小さい。 なんとなく。 ただなんとなく、そのまま歩き出せず... -
夕暮れの庭 / Garden at Dusk
夕暮れの庭 夜明け前に家を出る。 だから庭にあるのは、夜の記憶。 夕暮れに帰ると、門の横でひっそり椿が咲いていた。 淡いピンクに、細い紅。 この庭、昼はこんな顔を...
